日本の地上デジタルテレビ放送(にっぽんのちじょうデジタルテレビほうそう)とは日本における地上(陸上)のデジタル方式の無線局により行われるテレビ放送である。
名称
地上波によるテレビジョン放送についてデジタル放送の開始が決定した当初、市場では「地上波デジタル放送」と呼称していた。その後、総務省が「地上デジタル放送」を呼称としたことにより2002年12月ごろから放送事業者側でも「地上デジタル放送」の呼称に変更している。ただ、その他のメディアの中には語感が良く使い慣れているなどの判断から現在でも「地上波デジタル放送」と呼んでいるところもある(「デジタル放送の一覧」の項目も合わせて参照のこと)。
なお略称の「地デジ」の読み方は「ちじょうデジタル」の略で「ちデジ」が自然かつ一般的であるが、一時期「じデジ」という読み方が用いられていたこともある
導入の経緯
1953年に放送が開始されたアナログ方式のテレビジョン放送(NTSC、VHF1 - 12ch・UHF13 - 62ch)を、「電波の有効利用」を主目的にUHFチャンネルのみを使用したデジタル方式(ISDB-T)に置き換えるもの(53 - 62chは2012年まで暫定使用し、その後はテレビ放送用としては廃止)である。
チャンネル帯域はアナログ方式と同じUHF帯だが放送の方式が大きく異なるため視聴するには地上デジタル放送に対応したデジタルチューナーを搭載したテレビ受像機(テレビ)、DVDレコーダー、BDレコーダー、ハードディスクレコーダーなどの各種レコーダー、単体チューナー、パソコン類が必要である。
2003年12月1日11時より3大都市圏である東京、大阪及び名古屋のNHK3局、民放16社から放送が開始され2006年12月1日にはすべての県庁所在地を含む一部の地域で放送が開始された。国の政策により現在放送されている地上アナログテレビジョン放送は2011年7月24日までに放送を終了し停波することになっているが、放送体制の未整備などにより受信が不可能な地域もまだ存在している。このため停波予定日までにすべての地域で受信可能にすることを目標に各地で送信所・中継局の整備が進められており、整備が追い付かない一部地域向けに通信衛星による送信やIP放送といった代替手段を利用することも検討されている。終了時期については普及状況などによっては変更される可能性もあり、日本経済新聞の2007年7月10日付け朝刊は総務省が地上アナログ放送を地域によって段階的に停止することを「地上デジタル放送推進に関する検討委員会」の答申案に盛り込むと報じた。しかし総務省は2008年3月に「概ね2010年末までに従来のアナログ放送と同等のエリアを確保すること」との具体的指針を官報で告示し、関係する基本計画を変更した。朝日新聞の2007年7月24日付け朝刊は、総務省がアンテナ工事の集中や機器の品切れを防ぐために対応機器の普及率の高い地域から前倒しでアナログ放送を終了する方向に傾きつつあることを報じた。
停波予定とされている「2011年7月24日まで」の根拠は、電波法[2]が2001年7月25日に改正施行された際に地上アナログ放送の周波数を使用できる期間を施行から10年を超えない期間と定めたことによる。なお2008年10月末の放送局の再免許の際、アナログテレビ放送免許の有効期限が2011年7月24日となっている。しかし2009年1月7日には景況悪化を受け、普及率の高い地域から前倒しでアナログ放送を終了する方向に傾きつつあった方針を転換し2011年7月24日以降もケーブルテレビ網を介してアナログ放送が視聴可能になる措置を取ることが検討されることになった[3]。なお、京都府与謝野町は町営のCATVでアナログ変換された再送信の承認を総務省に求めている[4]。
日本より一足早くデジタル化される米国では、普及度の高いケーブルテレビを通じて3年間はアナログ変換された再送信を継続するよう連邦通信局(FCC)が指示したことで混乱を少なくする策が講じられている[5]。
これに伴い空きとなるVHF1 - 12chとUHF53 - 62chの周波数帯は地上デジタル音声放送(地上デジタルラジオ)、高度道路交通システム(ITS)、携帯電話、携帯電話向けの放送、業務用通信、公共機関向け通信などの新たな用途に使用する予定である。効率的な電波の活用を目指す日本では資源でもある電波が足りなくなっており、デジタル化の必要性の理由の1つとしてデジタル化のために使われる50チャンネルのUHFの周波数470MHz-770MHzの帯域はアナログ放送時代の放送と同じ活用と考えれば35%節約される65%で済み、この節約分の35%もこれらの新たな通信などに使用され相対的に1.35倍の有効活用が計れる[6]。ただし地上デジタル音声放送については放送統合運営会社の設立延期と総務省の周波数割り当て計画の見直しのため、時期は確定していない。
電波監理は国の専権事項である。この計画は当初、放送事業者が強く望んだものではなく、いわば「国策」として始められた経緯を持つ。日本の地上波放送のデジタル化は1997年3月、当時の郵政省幹部が「地上放送のデジタル化に向けた取組み」を「政策的に公言」したことから始まった。
当時、諸外国の状況から地上放送波のデジタル化については各放送業界内でも考えられてはいたが慎重なものであり、いわゆる「クリアビジョン」の整備などが進められていた。こういった状況の中、放送事業者にとっては「寝耳に水」でその内容もまだ明瞭さを欠いていたため当初NHK、民間放送局ともに騒然となった。様々な思惑が交錯、混乱を招いたが間もなくその免許はデジタル化終了まで既存のアナログテレビジョン放送を行っている放送事業者のみに与えるという決定がなされ各放送事業者は「国策」を受け入れた。しかしこの「既得権」と抱き合わせる形で従前よりある「あまねく条項」、すなわち既存のサービスエリアの視聴者にあまねく放送サービスを提供する、すなわちデジタル波についてもあまねく提供することが求められ(後にやや緩和されたが、逆にいえばこれはテレビの映らなくなる地域を容認したことでもある)各放送事業者は巨額の設備投資を求められることになる。民放労連などは、これが多くの放送局の経営を圧迫していると批判している[7]。この計画はアナログ波の停波により国民に広く普及しているテレビの更新を実質的に強制するものであり、消費者レベルでは支出が増えるため批判が根強い。
また地デジに対応する新東京タワー(東京スカイツリー)が2012年開業に向け建設中であるが、これに伴い首都圏の受信世帯ではアンテナの方向を再調整する必要が生じる。予定どおり2011年7月にアナログ放送が終了されれば多くの受信世帯がテレビの更新を余儀なくされるが、新タワーの開業によりわずか1年でアンテナ調整が必要になる世帯もある。しかし、この再度のアンテナ調整にかかる費用については「放送事業者が適切に対処する」ということになっており、利用者が負担する必要はない。
元NHKのディレクターで経済学者の池田信夫は、地デジ化はCSで行えば200億円ですむと旧郵政省の放送行政局課長が地デジ開始前の時点で主張していたとしている[8]。
特徴など
地上デジタルテレビジョン放送と地上アナログテレビジョン放送の違いや、追加された機能は以下の通り。一部の特徴は、規格上はBSデジタル放送と同等である。
高精細
MPEG-2 TS圧縮による1125i / 1080iのデジタル・HD放送が行われている。解像度は1440×1080i、最大16.8Mbps(データ放送・音声を含む。GI=1/8, 64QAM, 3/4, 12Segs時)のビットレートでほぼリアルタイム圧縮されている(なお、BSデジタル放送は、解像度は1920×1080i(一部は1440×1080i)、最大24Mbps(データ放送・音声を含む。24スロット時)のビットレート)。なお、HDで制作されていない番組はアップコンバートによりピラーボックス形式で放送されている。HD製作されていない番組でも、マルチ編成用や2008年現在でも多くが標準画質映像での放送が多いCS放送などの非アップ・コンバートの放送信号を受信した場合はテレビ受像機側の機能で自動的にピラーボックス形式に表示される。
なお、従来のNTSC受像機で、4:3サイズのテレビで視聴した場合(即ち、外部チューナーやケーブルテレビのセットトップボックスを外部端子にすえつける方法)は、アップコンバートでない限りはレターボックス16:9となる。
高音質・多機能音声
デジタル放送のため、十分な利得の余裕をもって受信できれば電波障害による音質劣化がほとんど生じない。またキー局などからのネット番組でも光ファイバーのデジタル中継回線を使用して送られているため、音質劣化がほとんどない。音声はMPEG-2 AACで圧縮されている。アナログ放送では1.0chモノラルでの二か国語放送か2.0chステレオの一方でしか放送が不可能だったが、2.0chステレオによる二か国語放送や5.1chサラウンドでの放送も可能になった。
電子番組表、番組情報
電子番組ガイド(EPG)により受信機で番組表や番組情報を利用できる。地上アナログ放送用にDVDレコーダーなどで利用されているGガイドやADAMSによる番組表よりも更新頻度が多く、留守録の時も録画機器が対応していれば番組放送時間の延長やズレにも正しい追随が可能となっている。
データ放送
テレビ番組と同時にデータ放送の閲覧が可能である。BMLという規格を用いて制作されている。基本的にはニュースや天気予報が表示でき、受信機で設定した地域情報に合った情報が配信される。また、一部では番組の解説や紹介された店舗などの情報を連動データ放送として番組放送中に提供している(Category:データ放送連動番組も参照)。局によっては受信機をインターネットに接続して受けるサービスもある。
データ放送のフォーマットは地上デジタル放送・ワンセグともにキー局が製作し、各地方局でローカル情報を追加するのが基本である。独立局では各局が個別にフォーマットから制作している。ただし、日本テレビ系列での日本テレビと系列地方局のように同じ系列でもフォーマットが違う場合がある。
またデータ放送を利用してテレビやDVDレコーダーなどの機能を向上したり、不具合を修正したりするファームウェアを配信することが可能である。電波が受信できる状態であれば、視聴者は特に意識することなくファームウェアが最新の状態に更新される。
双方向サービス
青・赤・緑・黄の4色ボタンを利用して視聴者参加型クイズやアンケート、投票を行うことができる(ワンセグも含む)。ただし「双方向」といっても受信機から局に向けて電波を飛ばすことはできないので、インターネットか電話回線を接続することで実現される。
しかし多大なコストが掛かることや2011年7月24日までに予定されている地上アナログ放送の停波実施までの期間は地上アナログ放送とサイマル放送をする都合上、通常編成で導入している番組はワンセグ以外ではNHK総合テレビの『生活ほっとモーニング』(月曜日のみ。ただし、祝日は番組自体休止となる)と日本テレビ系の『太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中。』『秘密のケンミンSHOW』(読売テレビ制作)、独立UHF局であるtvkの『SOLiVE Morning』(ウェザーニューズ制作)しかない。以前放送されていた番組では、テレビ朝日系の『奇跡の扉 TVのチカラ』が双方向機能を利用して捜査依頼や目撃情報を受け付けていた。また日本テレビ系の『サプライズ』でも出演者のイメージアンケートを行い、それを基にクイズが出されていた。特別番組ではNHKの『紅白歌合戦』『歴史の選択』、TBS系の『オールスター感謝祭』、テレビ朝日系の『テスト・ザ・ネイション』などで双方向放送が行われている。
マルチ編成
SDTV(標準画質映像)×最大3番組の編成が可能。1チャンネル当たりの帯域幅には制限があるので、高精細度テレビジョン放送とマルチ編成はどちらか一方のみとなる。したがって、「ハイビジョン画質でマルチ編成」はできない。
特別番組や臨時編成では他の放送局(NHK総合・民放共)も行う場合がある。毎日放送は地デジ本放送開始当初は通販番組『板東英二の欲バリ広場』において、NHK静岡放送局のデジタル総合テレビは2006年4月2日から2007年3月9日まで『ゆうどきネットワーク』と『ゆうどきネットワーク東海・北陸』において、テレビ愛知は2007年3月まで深夜の音楽番組『a-ha-N varie』においてそれぞれマルチ編成を行っていた。民間放送でのマルチ編成が少ないのは、編成上ハイビジョン画質CMの放送が困難になることも一因である。
視聴者は同じ番組内で3種類のアングルの映像から好きなものを選択できる「マルチビュー」放送も視聴可能。2007年11月までNHKデジタル教育テレビ(全国)、TOKYO MXテレビ、放送大学のみだったが総務省のデジタル放送規制緩和に伴い2007年12月より全国でマルチ編成を開始。
ワンセグ放送でも、マルチ編成は一部の局で開始された(詳細はワンセグを参照)。
移動体向け地上デジタル・テレビジョン放送
「ワンセグ」を参照
ゴーストのない映像及びノイズ
アナログ波より電波障害には全般に強く、アナログ放送で電界強度が十分でありながら画質が劣化してしまう条件であってもデジタル放送では障害物の影響を排除してゴーストのない鮮明な画像が受信できる。ある程度の受信レベルさえ確保できれば難視聴地域の減少も可能となり、中継局の合理化にもつながる。従来のアナログ放送の場合、電波が微弱であってでも不鮮明な映像や音声で限定的に受信することができたが、デジタル放送の場合は全く受信できず画面にはエラーメッセージが表示されるか鮮明に受信できるかのどちらかになる場合が多い。中間状態においてはベリノイズやコマ飛びなどを伴う場合がある。しかしブロックノイズ、モスキートノイズなどのデジタル非可逆圧縮映像特有のノイズが存在する。また、BSデジタル放送よりも実効ビットレートが低いためにこれらがより多い。
ただし、アナログで難視聴地域だった地域はデジタルでは事実上の「視聴不可地域」となることがある。これは放送法第2条の2第6項に記される「放送事業者は、その行う放送に係る放送対象地域において、当該放送があまねく受信できるように努めるものとする」との規定に反している。またいったん視聴がエラーによって中断された場合、復帰までに数秒を要する。現状では東京23区内や大阪市内といった都心部では天候によって常時ブロックノイズが表示されたり頻繁に受信が中断されたりする状況であり、アニメーションなどの圧縮に不向きな映像で安定した視聴が妨げられるほか頻繁な音声の中断はニュースなどの受信にも支障となることがある。「ある程度の受信レベル」の確保が困難な地域、例えば空港近隣や鉄道高架直下などや送信機より遠距離かつ障害の多くなる過疎地域などにおいてはこれらが顕著となることがある。
リモコンキー番号とチャンネル番号
日本の地上デジタルテレビジョン放送では放送波の中にSI情報を含めて送信しており、郵便番号などで地域設定をした受信機でその情報を受けることで受信した放送をリモコン上の特定の番号に割り当てることができる。この番号は、その放送が受信可能とされる対象エリア内で放送局毎に1 - 12のいずれかがリモコンキーIDとして割り当てられている。割り当ての設定自体はほとんど自動で行なわれ、一般的に地上アナログ放送の場合より容易である。リモコンキーIDとは別に000-999の3桁のチャンネル番号もあり、この点は地上アナログ放送より複雑である(物理チャンネルなど、ISDB-Tも参照のこと)。ただし、010番台 - 120番台の上2桁はリモコンキーIDの1 - 12と連動させた扱いになっている。
同一周波数中継(SFN)
親局と中継局(または基幹中継局と補助中継局)が同じ周波数で放送することが可能である。これにより電波の利用効率を大幅に高めることができる。特に近畿地方で多く見られる。
遅延問題
時報の廃止
地上デジタルTV放送では、従来の地上アナログTV放送ではなかった圧縮とその展開による映像・音声の遅れが発生する。つまり放送局側で放送番組の映像音声情報をデジタルテレビジョン形式の信号に変換するエンコード・多重化処理、各家庭等のデジタルテレビチューナーで受信した電波をテレビで表示できるようにするデコード処理を行なう必要があり実際の生放送でのタイミングより1 - 数秒[9]程度のタイムラグ(時間のずれ)が発生する。特に受信時のデコード処理による遅れはチューナーの処理能力に依存する。このため時報が廃止され、時刻出しでは時刻表示の変化の仕方を変えるなどしてタイムラグによる影響を最小限にとどめている。特にワンセグ放送はH.264の演算量が多いことに加え携帯機器での使用が多くデコーダーの性能を確保しにくいことから、タイムラグがさらに長く発生する。地上波とBSの同時放送では地域にもよるが、BSデジタル放送よりも更に若干のタイムラグが発生する。また同じ理由から、チャンネル切り替え時にも地上波アナログのように瞬時に他局に切り替えることはできずタイムラグが生じる。
デジタルチューナーや携帯の性能向上によりタイムラグが人にとっては問題ないレベルにはすることは可能ではあるが、原理的に処理時間はゼロになることはない。
緊急地震速報の遅れ
緊急地震速報の場合、アナログテレビ放送に比べて約2秒遅れることが明らかになっている。2008年6月14日に発生した岩手・宮城内陸地震でこの問題が明るみに出た。この遅延問題の解消を目指して総務省、放送局及び電機メーカーは圧縮を施さず速報を送信するように2008年9月から見直しを検討する。緊急地震速報はデータ量が少なく、映像や音声が乱れる悪影響はないと見込んでいる[10]。
時刻情報
各放送局は「TOT」(Time Offset Table)と呼ばれる時刻情報を、映像や音声とは別のエンコード方法で自局の映像信号に圧縮なしに多重送出することを義務付けられている。これを使って地上デジタル受信機は特に遅延のない電波時計を内蔵しているかのように動作し[11]、電子番組表のデータと連動して視聴予約・録画予約機能、番組名表示機能に生かされる。ただし、標準的な受信機において日本標準時と比べて±500ミリ秒の誤差が許容されている。
サイマル放送の制限
地上デジタルテレビジョン放送局の免許は「地上デジタルテレビジョン放送局の免許方針」に沿って割り当てられる。同方針に規定する免許の基本的要件としてアナログ放送との間にサイマル放送に関する制限が設けられており、「自ら行う地上アナログテレビジョン放送の大部分の放送番組を含めて放送するものであること」が求められている。具体的には、「自ら行うアナログテレビジョン放送(補完放送を除く)と同一の放送番組の放送(略)については1日の放送時間中、3分の2以上の時間で放送が実施されるもの」でなければならないとしている。
B-CASによる機器認証
地上デジタル専用B-CASカード
BS 110度CS 地上デジタル共用B-CASカード日本では、主に画像のコピー制御の基準に対する機器認証システムとしてB-CASを利用している。様々な基準を満たした地上デジタル放送対応の各種機器には「B-CASカード」というICカードが同梱され、使用開始の際にこれを機器に挿入する。これは容易に取外しが可能で同梱されていた機器以外でも使用することができ、機器認証としてはセキュリティ強度の弱いシステムでありフリーオのような機器によって破られた。これは元々B-CASカードが限定受信システム(CAS)として開発され、それを機器認証システムに流用したためである。このシステム上で放送されているコンテンツ(番組など)は暗号化された状態で視聴機器に届いているので、地上デジタル放送では災害情報番組など一部を除き対応機器にB-CASカードを挿入することが必須になり挿入しないと視聴などが不可能になった。
一部報道によると[12]、2008年秋ごろを目途にB-CASカードが担っている機器認証機能をテレビ本体のファームウェアに組み込み視聴するだけならB-CASカード及び抵抗感の根強いユーザー登録制度を不要にする予定である。これにより、放送局が負担している[13]ICカード発行配布などに関わるコストが低減される。また、取外しが困難になるので機器認証としてのセキュリティ強度も向上する。2007年8月31日、インテルはハードによらないソフトCAS方式の導入を目指す事を表明した[14]。
地上デジタル放送ではB-CASのユーザー登録をしなくても、BSデジタル放送の様にNHK視聴中のテレビ画面左下には「ユーザー登録のお知らせ」は表示されない[15]。
B-CASカード廃止の提案策には著作権を保護するためコピー禁止(ネバーコピー)も考案されていて、その場合以前にあった「コピーワンス」よりも権利が強く保護されることになる。ネバーコピーは録画を一切禁止するものである。こうした声から2009年11月より、miniB-CASカード(地上デジタル専用)の運用が始まった。
またB-CASは有料であり、その運用についてはさまざまな問題があげられている(詳細は「B-CAS」を参照)。
コピー制御
日本のデジタル放送では2007年現在、一部の番組を除き著作権に配慮した業界内(放送・機器製造メーカーなど)で合意された自主規制ルールに基いたコピー制御信号が付加されており視聴者が放送番組を機器で録画する際には幾つかの制限を受ける。放送開始当初は暗号化及びコピー制御は行われていなかったが2004年4月5日に運用が開始され、ほとんどの番組は「コピー・ワンス(1回だけ録画可能)」となった。
前述のコピー制御の仕組みには著作権保護技術(詳細は「コピーガード」を参照)としてCGMSが使用されている。これにより、デジタル放送の番組をデジタル信号のままで録画・複製(視聴者が番組を録画することは放送番組の1度目の複製という解釈になる)や移動を行う場合に対して許可や禁止の制御を行っている。CGMSの録画・複製についての具体的な制御の種類は「コピーフリー(録画自由)」、「コピー・ワンス」、「ネバーコピー(録画禁止)」があるが「ネバーコピー」については2007年現在、採用されている番組の例は確認されていない(例外として、TOKYO MXのOP・EDがネバーコピー形式で放送されている。局名告知としての放送ではネバーコピーではない)。またコピー・ワンス制御信号が含まれた番組はCPRM技術に対応したデジタル録画器や記録メディアで記録・保存(録画)・移動が可能になっており、CPRMに非対応のデジタル録画機器では録画・複製・移動がすべて不可能かすべて可能になる。
デジタル放送の録画にアナログ信号による録画機器を使用し受信機・受信回路からアナログ信号として出力した場合、放送信号に含まれるコピー制御信号はCGMS-A信号として出力されるがアナログ録画器機側の動作上ではコピー・ワンス信号による制限は受けない。なお、この使用例ではデジタル放送受信チューナーを搭載した録画機で意図的にアナログ信号に変換後に記録保存するものは存在しないので実質的には受信器機と録画器を接続コードでつないだ場合に限られる。
ただしCGMS-A信号を無効化してしまう一部の特殊な機器・機種を除き、通常はCGMSの制御情報は有効になったまま伝送・記録される。したがっていったんアナログ録画をした番組を再度デジタル録画機器に取り込んで録画した場合、最初からデジタル録画した場合と同様にCGMSの制御による番組の複製・録画や移動に対しての制限を受ける。
現状では、コピー自体の完全な制御には至っていない(コピーをアップロードしたとしてファイル共有ソフトで逮捕者が何人か出ていることでその存在は公式に確認できるが、こうした逮捕に至るケースは氷山の一角にすぎないともいわれている)。一方、一般的利用者が不便を強いられてフリーオ等の機器でコピー制御を回避できた者だけが脱法的に利便性を享受できるという構図になってしまっている。またコピーを完全に防ぐことは事実上不可能だという現実を踏まえ、テレビ各局では著作権主張のためウォーターマークが採用されている。
(録画機器側でのコピー制御の仕組みの詳細については、DVDレコーダーなどの当該録画機器の関連記述や「コピーガード」の記事なども参照)
ダビング10
詳細は「ダビング10」を参照
このコピー制限についてはアナログ放送と同様の利便性をデジタル放送にも求めるユーザーからの不満の声が強かった(「B-CASの関連章」なども参照)ため、1回しか録画できない「コピー・ワンス」をコピー9回さらにムーブ1回の合計10回まで可能とする回数緩和策(「ダビング10」)の実施を2007年7月に総務省が要請。これを受けて電子情報技術産業協会は2007年12月20日、「ダビング10」に基づく放送の運用開始を2008年6月2日4時と発表した。その後、録画補償金の問題をめぐって電機メーカーと著作権団体が対立したことから一旦は無期限延期となったが改めて2008年7月4日4時から運用が開始された。
消費者団体や家電メーカは緩和を、一方著作権団体や放送局は3回程度までの制御規制を求めていた。この9回+1回という制限条件は家族3人がDVDレコーダ、携帯電話、音楽プレーヤー等の3通りの機器にダビングやコピーを行う利用条件を必要十分に満たす程度のものとして考案されたものである。ただし、この規制緩和採用後も海賊版や不正コピーが増えた場合は更に制御のルールを見直すとしている。また衛星放送の有料デジタル放送については著作権に配慮し、既存のコピー・ワンスが引き続き継続される。しかし孫コピーは従来通り不可能なままである。例えばHDDレコーダーから記録型DVDなどにコピーした段階でレコーダーが破損、DVDのみにしか映像が残されていない状態になるとそのDVDからのコピーはできずDVDが破損した段階で記録が失われるという問題が発生する可能性がある。特に近年増えてきている中華人民共和国(中国)、大韓民国(韓国)、台湾など新興工業国生産のディスクメディアには粗悪なものも見られ録画、あるいはムーブ時は正常に番組等が記録できていたにもかかわらずディスクメディアが短期間の間に劣化し再生不能になるという問題も起きているという。
字幕放送
地上デジタル放送では、文字多重放送の1つとして行われている字幕放送が引き続き行われている。この機能の受信機器への搭載率は地上アナログ放送よりも高い。日本語と英語など多カ国語での放送も可能である。
字幕スーパー機能
映像信号とは別にニュース速報などの字幕スーパーの信号を放送にのせ、映像と合成して視聴者に見せることができる。受信機によってはこれは録画されない。地上デジタル放送開始当初はテレビ東京で使用が確認された。この機能はB-CASカードのID番号によって表示の有無を制御できる。これを利用してNHKがBSデジタル放送では既に実施されているテレビ画面の一部に未登録者へ住所登録を促すメッセージを割り込ませる、新たな受信料未契約・不払い対策の検討に入ったと報じられた[16]。
緊急警報放送
緊急警報放送が地上アナログ放送に引き続き行われている。
イベントリレー
スポーツ生中継など延長番組を別のチャンネルで行う場合、それを案内してくれる機能。録画機によっては自動的にそれに従った追従録画が行われ、視聴者側での操作が要らない。
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